ご相談いただいたのは、東京の下町の商店街で開業しているK先生でした。
今年で40歳になるK先生は、5年前に開業し商店街という立地も功を奏してか、順調に患者さんを増やし、スタッフも常勤、非常勤を含めて6人雇いながら日々の診療に専念していました。
そんなある日、スタッフのAさん(仮名)から相談を受けました。
「先生、残業代の計算がおかしいです。きちんと支払ってください!!」
Aさんは、3ヶ月前に働きはじめたばかりでしたが、勤務態度も真面目で患者様からの評判も良い衛生士でした。K先生もAさんにはもっと頑張ってもらいたい期待をこめて勤務3ヵ月にもかかわらず、医院として今までにない高い給与を出していました。
そんなAさんからの相談でしたので、まさかこんなことを言われるなど思ってもいなかったそうです。
まずは、Aさんの話を聞いてみようと思い、どういうことか話を聞くと、 「私の友人に給与明細を見せたら、『残業代が少ないんじゃないの?』と言われたんです。
それで、先日、 給与明細をもって労働基準監督署へ行って、残業代の計算が正しいかどうか確認してもらいました。 その結果、残業代が少ないとの事でしたので、不足額を支払って欲しい」とのことでした。
残業代の計算に関し、K先生は、一定額を1時間当たりの単価として出していましたが、法律で定められた額には 不足していました。K先生としては、Aさんには給与も多く出しているので、これ以上、出すわけにはいかず、なんとかならないかと思い、当センターに連絡をしてきたということです。
当センターでは、給与の構成項目、労働時間、など先生から話を伺った上で、
- 今回指摘された額については、差額を払うこと
- 現行の実労働時間を変えることなく法律に則った残業時間の圧縮を行い、残業代の抑制を行なう
ことをご提案させていただきました。
Aさんには、先生から残業代の計算方法の説明をすることで納得していただくことができましたが、始めからきちんと労働時間と残業代の計算方法を把握した労務管理を行なっていればお互いに嫌な 気持ちにならずに済んだ事例でした。
I歯科医院は、都内オフィス街にある大型歯科医院です。
I歯科医院の院長であるI先生は、従業員をシフト制で勤務させることによりスタッフごとの勤務時間を短くし、その分、スタッフを多く雇うというスタイルをとっていました。そんなI先生から相談いただいたのは、まだ梅雨の明けないじめじめした雨が降り続く日でした。
ホームページで拝見したI先生は、精悍な顔立ちをしたさわやかな印象の先生でしたが、実際にお会いしたI先生は、この件で頭を悩まされ、非常に疲れた顔をされていました。
お話を聞くと「今度退職する従業員のNから退職金を出せといわれている」との事でした。 I先生は、正社員のスタッフが退職する際に、勤務時の頑張りぐあい(貢献度)から退職金を渡していました。このことを知っていたNさんは、I先生に退職金の支払を要求してきたのでした。
しかしながら、Nさんは常勤ではなくアルバイトだったのです。
I先生も正社員にならまだしもアルバイトのNさんには支給するつもりがなかったので、「退職金は、正社員には出すが、アルバイト には支給しないんだよ」とNさんに伝えたそうです。すると、Nさんは、「そんな話は聞いていません。私もしっかり働いてきたのですから退職金をください。退職金を払ってくれないのならば、 労働基準監督署に言います!!」と言ってきたそうです。そこで、I先生はどうしたらいいか当センターに尋ねてきたというわけです。
当センターでは、
・退職金は、全員に出さなければならないものではないが、支給対象者をしっかり定めていない場合は、 正社員、アルバイト関係なく支給しなければならない説明をしました。
また、監督署に相談された場合、I先生に出頭命令が下されることも説明しました。
結局、I先生はNさんに退職金を支払うことになりました。(お支払いただく金額については、当センターよりアドバイスさせていただきました。)
そして、この機会に退職金の規程を作成し、支給基準や支給額などをきちんと規程する事にしました。
今回は、事前にきちんと規程を定めておけば十分防ぐことができるトラブルでした。
当センターには、この事件以外にも
- 退職したら解雇だと騒ぎ出した。
- 有給を請求され監督署から出頭命令が・・・
- 雇用保険の加入漏れで、大騒ぎ!
など様々なご相談を受けています。
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